マルチコプタ(いわゆるドローン)は、制御なしでは 1 秒も姿勢を保てない「本質的に不安定な」乗り物です。 この教材では、なぜ不安定なのか・どうやって安定に飛ばすのかを、 数式とインタラクティブなシミュレーションの両方から理解することを目指します。

対象読者は制御工学を学ぶ大学生以上(伝達関数・状態方程式を学習済み)を想定しています。 題材には手のひらサイズのクアッドコプタ StampFly を使い、 説明に登場する数値は実機の仕様値・飛行ログ・ベンチ実測から取っています。 各章にはブラウザ上で動かせる教材が埋め込まれており、 ゲインや推力を自分の手で変えて挙動の変化を体感できます。

目次

  1. マルチコプタはなぜ落ちないのか — 導入と全体像草稿
  2. 機体のしくみ — ロータ配置・推力と反トルク・ミキシング草稿
  3. 運動のモデリング — フルのニュートン・オイラー運動方程式草稿
  4. モータとプロペラ — 数字はどこから来るか・同定と時定数草稿
  5. 姿勢の PID 制御 — カスケード構造と2次系近似設計草稿
  6. PID 制御の道具箱 — 教科書の式から、実機ループの運転まで草稿
  7. ループ整形 — 位相余裕と交差周波数・むだ時間の正体草稿
  8. 高度の制御 — モデル・トリム・線形化・設計の王道を1次元で草稿
  9. センサと状態推定 — IMU・相補フィルタ・カルマンフィルタ準備中
  10. 位置と速度の制御 — ホバリングから軌道追従へ準備中
  11. 実装 — 離散化・ファームウェア構造・実機で飛ばすまで準備中

付録 — 実測の舞台裏

本編に登場する数字がどう測られたのかを、実際の波形・写真・図解つきで 紹介する補足ページです(第4章とあわせてどうぞ)。

  1. コーストダウン試験 — 電気を使わずに J/C_Q を測る草稿
  2. 写真から慣性モーメント — カメラと定規と秤で測る草稿
  3. 電流を測らずに Ke を測る — 測りたい量だけが残る条件を作る草稿
  4. 2点吊り法 — 紐2本で機体の慣性モーメントを測る草稿